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2009年03月09日

<戦略を語る>三菱重工業神戸造船所長

<戦略を語る>三菱重工業神戸造船所長・正森滋郎氏
神戸新聞(2009/03/09)

<戦略を語る>三菱重工業神戸造船所長 世界的な景気後退の影響が兵庫県内の製造業に及ぶ中、関連会社も含め約一万人の従業員を擁する三菱重工業神戸造船所(神戸市兵庫区)は、事業拡大にかじを切っている。主力製品である原子力発電設備の増産に向け新たな設備投資に着手し、新卒採用も増やした。執行役員で所長の正森滋郎氏(58)は、環境に与える影響が少ないハイブリッド自動車向けの機械製品などにも期待し、「近い将来、造船所全体の生産高を(現在の約三割増となる)四千億円にしたい」と話す。(内田尚典)

 -景気後退の影響は。

 「造船は二〇一〇年まで建造予定が埋まり、当面の仕事量は確保している。原発は、石油に変わる安定的なエネルギーとして米国や中国、東欧などで需要が高まっており、事業を拡大する。この先、景気がどう響くか不透明な部分もあるが、工場の稼働を止めたり、大幅に人を減らしたりする状況ではない。今春の新規採用は大卒と高卒で計二百五十人ほど。過去三年の平均より百人増やした。来春もペースを維持する」

 -原子力部門拡大の内容は。

 「二見工場(明石市)で百五十億-百六十億円かけ工場棟を増設し、発電所の心臓部に使われる原子炉容器の生産能力を年一基から二基に上げる。炉内に組み込む部品も、これまでの本工場(神戸市兵庫区)に加え二見工場で作る。蒸気発生器はすでに本工場で増産投資を終えた」

 「米国向けの大型設備のほか、日本原子力発電敦賀三、四号機などの建設も進める。国が進める高速増殖炉の実用化では中核企業としての務めを果たしている。二〇三〇年ごろからは既存の原発の更新が始まるとみられ、対応しなければならない」

 -原子力以外では。

 「サトウキビの葉や稲わらなど、食料以外の材料からバイオ燃料を作る技術の共同開発に参加している。初期工程の糖化を担う実験施設を四月にも設ける。ハイブリッド車用のモーターや、排ガス中に含まれる一酸化炭素などの成分を瞬時に計測する装置なども開発、生産している。景気悪化で受注が減っているが、将来的には拡大する考えだ。これらの先端機械・鉄構製品を原子力、船舶海洋に次ぐ三本目の柱として強化したい」

 -昨年、建造中の潜水艦内で感電による負傷事故があった。安全策は。

 「人為的なミスが発生した場合でも危険を回避できるよう、設備の改善に力を入れている。原発に出向いての作業は、放射線管理に細心の注意が欠かせない。国の指針に従い、今後も安全対策を徹底する」

メモ 神戸造船所は、三菱重工業の主要生産拠点の一つ。本工場と二見工場をあわせ従業員数約4300人。原子力発電設備や貨物船、宇宙実験装置、ロボットなど製造分野は幅広い。2007年度の生産高は3033億円。本工場敷地内に、幕末に築かれた史跡「和田岬砲台」がある。

 まさもり・しげろう 東京大学工学部卒。1974年、三菱重工業入社。神戸造船所原子力プラント技術部次長、同原子力保全技術部長を歴任。関西電力大飯発電所や九州電力玄海原子力発電所などの建設を担当し、「原発の保守管理の仕組み作りに携わった」と自負する。2008年4月から現職。



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Posted by 昏君 at 20:53│Comments(0)玄海町
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